サブスクリプション4つのモデル

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サブスクリプション4つのモデル

サブスクリプションには、定期購入型モデル・頒布会(はんぷかい)モデル・利用権利型モデル・レコメンドモデルという4つのビジネスモデルがあります。この記事では、それぞれのモデルのメリット・代表例、また複数のモデルを組み合わせた事例を紹介します。

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは、定額制で利用者に継続的に料金を支払ってもらい、商品・サービスを提供することです。

定額制ビジネスは歴史的に古く、従来は雑誌や新聞の定期購読などがありました。しかし、近年ではインターネットやITの進化や物流の進歩により、様々なサブスクリプションモデルが存在するようになりました。

サブスクリプションの4つのモデル

サブスクリプションの4つのビジネスモデルを紹介します。

定期購入型モデル

定期購入型モデルとは、顧客に対して特定の製品を販売するビジネスモデルです。扱われる商品は、飲料水やサプリメントなど、日常的に使用する商品になります。

例として、Amazonの定期お得便があります。Amazonの定期お得便は、洗剤や飲料水、カミソリの替刃など日常的に利用する商品の定期購入が可能です。全20カテゴリーの中から好きな商品の定期購入ができ、配送頻度や数量も「1ヶ月に1回」や「2ヶ月に3セット」など選択することができます。

定期購入型モデルのメリットとして、在庫商品の消費や売上に関する計画が立てやすいことがあります。定期的に買い足すのがめんどくさいという顧客の感じる課題に対して、定期的に配送するという手法を取ることで、在庫商品の消費や売上に関する目標を計画的に設定しやすくなります。

頒布会(はんぷかい)モデル

頒布会モデルとは、企業側が予めコース設定を行い、毎回異なる商材を販売するビジネスモデルです。扱われる商品は、日常的に利用するけれど、種類が多様な商品である、食品・酒などの飲料系、化粧品、雑貨などがあります。

例として、フランス発のMy Little Boxがあげられます。My Little Boxは、毎月コスメやメイクアップの詰め合わせが届くサービスです。専門家が厳選した商品であるということから信頼の高いサービスになっており、忙しい人や化粧品のサンプルを試したいという人が多く利用しています。

頒布会モデルを利用する顧客は、多種多様な商品の中から自分に合うものが選べないという人や新しい商品を試せる楽しみを求めている人が多いです。

そのため、頒布会モデルのメリットは、顧客側から商品の選択を任せてもらえるため、一般的なEコマースよりも在庫管理が容易になり、高い利益率を確保できることがあげられます。

利用権利型モデル(使い放題型モデル)

利用権利型モデルとは、企業がサービスやコンテンツの利用権利を顧客に貸与するビジネスモデルです。主に、ソフトフェアやデジタルコンテンツ、レンタルなどの、時間や金額に制限がかけられるものや場所になります。

例として、電子本の読み放題サービス「dマガジン」があります。月額400円を支払えば、dマガジンに掲載されている全ての本が読み放題になります。漫画からビジネス書まで幅広いジャンルの電子書籍が掲載されているため、幅広い層からの人気を得ています。他にもSpotify やLINE Musicなどもこのモデルです。

利用権利型モデルのメリットとして、リピーターを獲得しやすくなることがあげられます。会員登録した顧客でなければ、利用できないという条件を提示することや会員登録すれば、サービスが使い放題になるという手法を取ることによって、顧客は優遇されていると感じ、最大限にサービスを利用しようという消費者心理が働きます。その結果、顧客は利用できる権利に対しての満足感を得られ、リピーターの獲得につながります。

レコメンドモデル

レコメンドモデルとは、専門家や莫大な顧客データから顧客1人1人の好みや状況に合わせて商品を提供するビジネスモデルです。扱われる商品は、人によって好みが分かれやすい、ファッション・ヘルスケア・食品・デジタルコンテンツなどがあります。

例として、フィットネスアプリ「FiNC」があります。FiNCは、人工知能を搭載したパーソナルトレーナーが毎日の体重や睡眠、運動データを分析し、それをもとに顧客1人1人に合った美容や健康メニューを提案するサービスです。スマホのアプリで気軽に利用できる点や、個別の的確なアドバイスをもらえるという点で幅広い層から支持されています。

FiNCではAIを利用しており、レコメンドモデルはITやインターネットなどのデジタルコンテンツとの相性が良いビジネスモデルです。

レコメンドモデルのメリットとして、顧客からの信頼を得られることがあります。診断チャートや行動データなどをもとに、顧客の好みを効率的に集計し、専門家がその情報と自らの知見をいかして顧客にとって最適な商材やプログラムを選ぶという手順を踏んだ上で顧客にサービスを提供しています。

このような手順があることで、多種多様な選択肢かつ、正解がない分野においても、顧客にとって満足できる結果を導き出すことが可能です。

サブスクリプションのビジネスモデルの事例

サブスクリプションの4つのビジネスモデルは、それぞれで独立しているわけではなく、4つのモデルが交わりながら機能しているものも多く見受けられます。その中から、oisixとair Closetの2つのビジネスモデルを例に見ていきましょう。

oisix

oisixは、頒布会型を軸に他の3つのモデルを交えたサービスを展開しています。

oisixが提供しているおいしっくすくらぶでは、有機・無添加食品、ミールキットの会員制宅配サービスを主に行っており、「美味しいものセレクトコース」や「kit oisix献立コース」、「プレママ・ママコース」など用途に合わせて様々なタイプの定期宅配をおこなっています。この定期宅配の大きな特徴は、決まった食材の中で自分の食材を選ぶことができるという点です。

例えば、特定の食材にアレルギーがあるのなら、その食材の代わりに別の食材を選ぶことができます。こうすることで、「自分好みの商品が入っていない」や「当たり外れがある」という頒布会モデルのデメリットを解消しながら、さらに発展したサービスの提供を行っています。

oisixのビジネスモデルは、必要な商品を定期的に配送する定期購入型会員制のみ利用できる利用権利型・企業のコース設定のもとに定期配送する頒布会型・指定されたコースの中で自由に選ぶことができるレコメンド型と、全てのビジネスモデルを横断したサブスクリプションサービスサービスをおこなっています。

air Closet

air Closet とは、プロのスタイリストがそれぞれに合ったコーディネートを選び、配送してくれるファッションレンタルサービスです。会員として、一定額の料金を払うことで顧客の好みに合わせた「スタイルカルテ」をAIが作成してくれ、スタイリストがそれに基づいてコーディネートを選ぶという仕組みになっています。このようにair Closetでは、レコメンド型と利用権利型の2つのビジネスモデルのもとに展開されています。

サブスクリプションビジネスが一気に加速している

サブスクリプションビジネスとは、売り切りではなく、サービスや製品を利用した期間や利用量に対して対価を支払う課金提供型のビジネスです。

今まではサービスや製品を一回ごとに売り切るビジネスモデルが中心でした。

売り切りのビジネスでは単発の売上は発生するものの、継続的な売上に繋げるには営業努力が必要です。

そこで近年注目され、シェアを広げているのがサブスクリプションのビジネスモデルです。

「月額○○円で使い放題」といった定額制などがこのビジネスモデルに当てはまり、従来の売り切り型とは違い、継続的・安定的な売上が見込めます。

例えば、今まではExcelやWordなどのofficeシリーズを売り切りにしていたMicrosoftが、サブスクリプション型で提供を始めました。

また、Adobeも売り切り型からサブスクリプション型ビジネスへとシフトしています。

最近では、スマートフォンやパソコンからの動画見放題・音楽聴き放題・マンガ読み放題などのデジタルサービスだけでなく、カーシェアなどの非デジタルサービスの領域でもサブスクリプションビジネスが広がってきています。

サブスクリプションビジネスが拡大している背景には、消費者が「所有すること」「購入すること」よりも「使いやすいこと」「共有すること」にメリットを感じるようになってきたことが挙げられます。

従来、初期費用で膨大な費用がかかるサービスでもサブスクリプションビジネスなら手軽に始めることができるよことも拡大している理由の一つです。

このような消費者の購買行動の変化、スマートフォンやインターネットの普及・進歩、そして企業にとって顧客との継続的な関係構築が必要であることなどが背景となり、サブスクリプションビジネスが一気に加速しているのです。

まとめ

サブスクリプションモデルには、定期購入型モデル・頒布会(はんぷかい)モデル・利用権利型モデル・レコメンドモデルの4つがあります。古くから存在するサブスクリプションモデルも、ITやインターネットの発展により、多種多様なサービス形態を可能にしています。

例えば、定期購読の分野でも、紙媒体での雑誌や新聞の提供以外にオンライン上での定期購読という選択肢が追加されたり、割引だけでなくポイント加算精度を導入したりするなどがあげられます。

それだけでなく、oisixやair Closet の事例としてあげたように、4つのサブスクリプションモデルそれぞれが独立しているわけではなく、複数のモデルが組み合わさって成立しているサービスも数多く存在しています。サブスクリプションは、これからも4つのモデルの中で更に多様化していくサービスだということができるでしょう。

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