マーケティングの成果を高める「ソーシャルプルーフ」の秘密

「ソーシャルプルーフ(Social Proof)」という言葉をご存じでしょうか?「社会的証明」と訳されることが多いこの言葉は、米国の研究者であるロバート・B・チャルディーニ氏が1980年代に提唱した心理学用語の1つで、人が周囲の声や社会的評価を参考にしながら、自らの判断の妥当性を測る心理傾向のことを指します。この記事では、オンラインショッピングにおける消費者の意思決定にも大きな影響を及ぼすようになっているソーシャルプルーフの概念について、マーケティングの視点から考えてみたいと思います。

目次

多くの消費者の声が形成するソーシャルプルーフの重要性

消費者がインターネットでさまざまな情報を収集し、また自らがSNSなどを介して自由に情報発信できる現在の市場では、もはや商品を売る側の一方的なメッセージは通用しなくなっています。そのため、自社の商品を多くの消費者に届けるためのマーケティング活動においても、実際に商品を購入した消費者からどれだけポジティブな評価を得ることができるか、またそうした評価の声を目にして購入意欲が高まっている消費者をいかに正確にターゲティングし、エンゲージメントを構築することができるかが、ビジネスの成否を左右する重要な課題となります。

皆さんが購入を検討している商品のことをインターネットで調べるシーンを考えてみてください。そこで知りたいことは、どのECサイトの販売価格が一番安いかだけではありません。むしろ、実際に商品を購入した消費者のレビューを読むことで、その価値を客観的な視点で確かめることのほうが重要なはずです。

ここで注目したいのが「ソーシャルプルーフ」の概念です。多くの人からの賛同を信頼の証とするソーシャルプルーフは、オンラインショッピングにおける購入の意思決定に大きな影響を及ぼすようになっています。そして、このソーシャルプルーフのプラットフォームとして、Amazon、Facebook、TwitterといったECサイトやソーシャルメディアの役割がますます高まっています。

特にAmazonについては、それ自体が全世界にユーザーを擁する巨大なECサイトであることは言うまでもありませんが、こうしたプラットフォームビジネスのリーダーは、売り手の買い手の出会いの場を提供するだけでなく、これまでは漠然とした口コミだったソーシャルプルーフを可視化することで、そこに参加するすべてのステークホルダーにメリットをもたらす共生の場、エコシステムとなっています。この中で企業は、消費者が発信するレビューや購買行動をAI(人工知能)などで分析することで、消費者の実像をより詳細に把握し、マーケティングの成果を高めるための新たなインサイトを獲得することができます。

プラットフォーム上で可視化されるソーシャルプルーフの主なタイプ

では、ここでマーケティングにおけるソーシャルプルーフ戦略を考える上で、知っておかなければならない基礎知識について簡単に整理してみたいと思います。現在知られているソーシャルプルーフの主なタイプとしては、以下のようなものが挙げられます。

ユーザーの評価

実際に商品を購入した消費者がECサイトのレビュー欄やSNSで発信する評価は極めて重要な意味を持ちます。ここでは商品の性能にとどまらず、送料の設定や納品のスピードなども含めて、消費者にどれだけ快適な購買体験を提供できるかも評価の対象となります。

専門家の評価

各分野の専門家の評価も、商品の価値を高める重要な要素です。旧モデルとの違いや技術的な先進性など、一般的な知識だけでは判断できない点もあるだけに、専門家の評価は商品の購入を検討する消費者にとって貴重な情報です。

インフルエンサーの声

メディアに頻繁に登場する著名人、インフルエンサーの声も消費者の行動に大きな影響をもたらします。ステルスマーケティングのような手法は別としても、特定の商品分野やブランドを長くウオッチしているインフルエンサーの意見は、多くの消費者の意思決定における判断材料となります。

売れ筋ランキング、ユーザーの評価

ECサイトで商品を調べる際に、売れ筋ランキングや口コミ評価の順位を参照する消費者は少なくありません。Amazonなどのプラットフォーマーが公開しているこうした情報も、広く定着しているソーシャルプルーフです。

こうしてみると、ソーシャルプルーフはBtoCマーケティングにしか応用できない概念だと思われがちですが、そんなことはありません。たとえば、IT企業が公開しているソリューションの導入事例などでは、具体的な顧客の声やそこから生まれた成果などが紹介されており、これらはBtoBビジネスにおけるソーシャルプルーフの1つだと言えます。

もう1つ、ソーシャルプルーフはメルカリ(mercari)に代表されるフリーマーケット市場など、CtoCビジネスにおいても重要な意味を持つようになっています。個人間取引において、出品者の評価はBtoCビジネス以上に大きな意味を持ちます。たとえ目当ての商品が出品されていたとしても、その出品者の評価が低ければ、ほとんどのユーザーが購入を見送るはずです。このようにプラットフォーム上で可視化されるソーシャルプルーフは、売る側と買う側の信頼関係を支える重要な判断基準となっているのです。

レビューの機能、SNSを活用した新たなソーシャルプルーフの形成

では、ソーシャルプルーフを応用してマーケティング戦略を成功に導くための手法としては、どのようなものがあるのでしょうか?

初期段階の施策として、まず自社のECサイトで商品を販売する場合、レビューの機能は必須です。ここでは商品の評価にとどまらず、スピーディな配送手続きといった購入体験に関する消費者の生の声を紹介することができます。この中で商品の独自の使い方などの意見が寄せられれば、購入を検討している人にとって参考となるだけでなく、その商品の付加価値も高まることになります。

次に、専門家やインフルエンサーの声がメディアで紹介された場合は、それをECサイトの中で紹介するのもいいでしょう。これにより、商品の評価、信頼性は大きく向上し、購入の意思決定を後押しすることができます。

また、消費者のレビューや専門家の評価は、自社のECサイトの中だけにとどめていては、ソーシャルプルーフの価値が十分に活かされません。ここで効果を発揮するのがSNSを使った情報の拡散です。

SNSには、特定の商品やサービス、またそれらを提供する企業に対する評価など、さまざまな意見があふれています。こうしたオンライン空間に自社のマーケティング資産である顧客の声を広めることで、自社の評価やブランド力を高めることができます。さらに、そこで形成される新たなソーシャルプルーフ、消費者とのエンゲージメントを継続的に維持することで、新たな商品開発や販売に活かしていく理想的なサイクルを構築することも可能です。

このように、さまざまなメディア、チャネルを横断しながら、時間とともに成熟していくのもソーシャルプルーフの大きな特性だといえます。企業にとって、現在のマーケティング環境の中でいかにして消費者の心理を把握し、成果に結びつけることができるかは、未来の成長の鍵を握る最優先のテーマです。今後、AIが搭載された分析ツールの進化によって、企業はソーシャルプルーフからこれまで以上の高度な知見を得ることにできるようになります。持続的な成長の基盤となるこうした投資は、早い段階で進めておくことで大きなリターンにつながるはずです。

5つのカテゴリー

まず、ソーシャルプルーフのいくつかのカテゴリーを挙げてみよう。

1. エキスパート(例:各分野の達人や専門家がブログやTwitterで意見を述べる)
2. セレブリティ(例:某ブランドのバックを有名女優が愛用している)
3. ユーザー(例:購入者のオンラインレビュー、ケーススタディ)
4. 群集の教え(例:数百人、数千人が商品を購入したり、読者登録を行ったりしている)
5. 友人の教え(例:友人がFacebookで「いいね!」しているブランドやTwitterでつぶやいていた商品)

ECサイトでの商品購入が盛んになればなるほど、人々はこういった「他の人の意見」を、より重要視するようになる。そして、インターネットやSNSの普及によって、ブログやコメント、商品レビューなどから商品についての意見を得ることができるのだ。

ただ、注意しておきたいのは、すべてのソーシャルプルーフが肯定的というわけではない、ということ。上に挙げたカテゴリーのうち、ひとつでも否定的なソーシャルプルーフを得てしまったら、それがどのような影響を与えるかは容易に想像できるだろう。

やはり商品レビューが重要!

消費者が購入を決定する際に決め手となるのは一体何か? ここでは、ソーシャルプルーフの1つである「商品レビュー」に関するデータを見てみたい。

・商品を購入する際、70%以上のアメリカ人はレビュー内容を確認する
・60%前後の消費者は、商品の格付けやレビューが載っているサイトでの購入を行う
・購入者は、他の消費者のレビューは製造元による製品説明の12倍信用できると考えている
・米国の18〜64歳のオンラインユーザーの78%は、商品の購入を決める際にレビューが決断の助けになると考えている
・レストランレビューサイト「Yelp」では、☆(星マーク)が1つ増えると売り上げは5~9%増える
・世界の消費者の92%は、広告より友人や家族の「おススメ」や意見のほうが信用できると考えている

会社が自社製品をよく言うのは当たり前。だからこそ、実際に使用した消費者の感想こそが信憑(しんぴょう)性がある。そして、自分のニーズにあった具体的感想(例:どのカメラの望遠機能が良い。どのお店の対応が良いか)を得ることもできるのである。

ソーシャルプルーフを効果的にマーケティングに繋げるには?

では、ソーシャルプルーフを効果的にマーケティングにつなげていくためには、何が必要なのだろうか?

信憑性:商品レビューや証言広告には書いた人の写真を載せる。写真があるだけで「本当に消費者が書いたもの」という信憑性の向上につながる。

仲間意識:人は自分と同じ環境にいる人に同調しやすい。プルーフを築く際に、自社のターゲットを的確に絞り、それを基に最も効果があるプルーフを確立したい。

話題作り:ソーシャルプルーフを確立するには、人々の話題に上らなければならない。無料サンプルをエキスパートやセレブリティに配り、話題にしてもらうのも良し。

共有の場:せっかく人々が商品・サービスに満足していても、それをシェアできる場がなくては意味がない。気軽に情報提供やシェアができる共有の場を用意する。

上記4つは基本としてぜひ押さえてほしい。

ソーシャルプルーフは本当に効果的なのか?
3人のエキスパートによる証言

私はグロースのエキスパート達に、ソーシャルプルーフが効果的であると考えているか、尋ねました。下記に彼らの回答を記載します。

また、『The Obstacle Is The Way』の著者であるライアン・ホリデイのまとめが素晴らしいです。
「もちろん、そのランディングページが何のためのページなのか、何を目標としているのか、によって異なります。しかし一般的に、ソーシャルプルーフを 評価するより良い方法とは、こう尋ねることではないでしょうか。『人々がソーシャルプルーフを目にすることを求めていない場合とは、どんな場合だろうか?』と。」

この施策における最善の方法がありますが、まずは共通した使用例を見てみましょう。

6つの基本的なソーシャルプルーフの種類と具体例

ソーシャルプルーフには、基本的な6つの種類があります。あなたの戦略に基づき、その内の1つを取り入れてください。所属する業界や設定した目標によって、どのタイプを使用するか判断すると良いでしょう。

1.ケーススタディ

あなたが顧客に提供している商品やサービスについて、データドリブンで深い洞察に基づいた分析を提供します。B2B向けのソフトウェアやエージェントサービスの場合に適しています。

短い形式のケーススタディは主要な方法の1つです。Case Study Buddyでは、多くの人がその実績を紹介しています。

2.推薦文

商品やサービスの使用に満足している顧客からの、シンプルで短い形式の推薦です。これは、様々な状況で適用可能です。ランディングページで紹介している無料の電子書籍でも、月額$49のSaaSパッケージでも効果的なのです。

写真、名前、会社名、そして、役職!推薦文に根拠を与えるのを忘れずに。あなたの製品やサービスに信頼性を与える前に、推薦文に信頼性を与えましょう。

3.レビュー

レビューはより客観的な推薦文と言えます。技術的な製品や、競合性の高い業界での製品での使用がおすすめです。

備考:顧客はあなたの製品やサービスのレビューの招待を待っているわけではありません。フォーラムやレビューサイト(YelpやGoogle)を定期的に訪れ、あなたの製品がどのように語られているか、確認しましょう(ランディングページのコンテンツ用に調査するのです)。

4.ソーシャルメディア

ツイート、Facebookの投稿、インスタグラムのコメントなどで、既存顧客やブランド支持者から称賛の言葉をもらいましょう。ソーシャルメディアであなたの製品やサービスについてのポジティブな発言は、全て保存しておきましょう。この種類のソーシャルプルーフはB2Cの製品やサービスで最も効果的ですが、B2Bでは全く効果がないというわけではありません。

Social Media Examinerは、カンファレンスのランディングページにこのソーシャルプルーフを使用しています。年次で行われるこのイベントについて、人々がどのように語っているかを示すためです。

5.信頼のアイコン

ソーシャルプルーフについて疑問を持つ形式が、これになります。TechCrunchが4年前に、あなたがシリーズAの調達金の発表をしたことについて記事にしたとします。この場合、TechCrunchのロゴをランディングページに記載すべきでしょうか?Better Business Bureauに所属している場合、そのロゴをランディングページに記載すべきでしょうか?

ロゴやアイコンはソーシャルプルーフと言えるかもしれません。しかしそれらは「ソーシャル」とは言い難いです。TechCrunchはあなたについて、どう述べているでしょう?BBBのレビューはどのように語っているでしょう?映画や本のランディングページから手がかりを得ましょう。単に公的な名前やロゴの記載だけでなく、レビューの内容も含めているのです。

6.データや数字

顧客数、招待状の残数などです。1つの数字は1,000の言葉よりも価値があります。このソーシャルプルーフは、他の種類のソーシャルプルーフと併用しましょう。そうすることで、「X人が我々の製品、もしくはサービスを使用しているだけでなく、こんなにも彼らは愛してくれているのです」と言うことができます。

Bufferは「X人が使用しています」というスタイルのソーシャルプルーフを用い、ブログの読者数やソーシャルのフォロワー数などの印象的な数字を併用しながら、コンバージョンを促しています。

3つの革新的な種類のソーシャルプルーフと具体例

数年前、ソーシャルプルーフの効果を試すため、簡単なABテストを行いました。このテストではソーシャルプルーフ無しで、20%の上昇を得ました。

ベストプラクティスの問題点は、効果的な方法を学んだ場合、それが効果的でなくなるまで我々はそれを繰り返し使用してしまうことです。使い続けることで、効果はさらに減り、また、さらに減っていきます。 ラファエルも下記のように述べています。

クラシカルなプレスのロゴは、今日、あらゆるWebサイトで目にします。それは未だに効果的なのでしょうか?もちろん効果はあります。しかし、5年前と同じ効果は、おそらくないでしょう。多くの訪問者はこれを見慣れており、この施策が「バナー盲信症候群」を引き起こすと理解しています。悪影響はありませんが、訪問者を説得するため、より効果的な方法が求められています。

ソーシャルプルーフにおけるこの問題を避けるため、たまには、標準的な6つのタイプから抜け出す必要があります。次の施策のさい、これから紹介する3つの方法を試してみてください。それらはより革新的であり、あなたの価値観を覆してくれるはずです。

1.ストーリーテリング

ランディングページを適切に作成できると、あらゆる訪問者に一貫したストーリーを提供できます。マットはShipYourEnemiesGlitterをローンチした際、型破りな方法で推薦文を使用しています。彼は、メリットについて語っておらず、反対意見にも言及していません。その代わり、彼のランディングページが語っているストーリーをサポートする言葉を記載しているのです。

マットのストーリーは、多少攻撃的で、面白おかしく、コンバージョンにおいて疑うこと無く効果的です(24時間以内に5桁の収益)。ランディングページ内の「レビュー」セクションのスクリーンショットがMashableの記事になることは非常に稀でしょう。

2.暗に意味する

多くのソーシャルプルーフは直接的な表現を用います。「スタートアップ NO.9389 ジョン・スミスはプロダクトXを試し、非常に素晴らしいと感じた」という具合に。時として、最も説得力のある主張は「その主張を作ったのはあなたであることを訪問者が知らないもの」であることがあります。

私の友人であるティモシー・シーケスを例に挙げてみましょう。彼はペニー株を取引しています(ウルフ・オブ・ウォールストリートを思い浮かべましょう)。そして、彼の成功を再現するよう、人々に教えています。彼はどのようにして、人々に会員登録を促しているのでしょうか。それは、暗に意味するソーシャルプルーフによって、です(注:彼は標準的なソーシャルプルーフも用いています)。

彼は全てのランディングページで、「それをもたらすものを、あなたは持っているだろうか?」というスタイルのメッセージを使用しています。そこで示唆されるものはなんでしょう?彼はあなたが彼の授業を受けたいと思わせるのではなく、授業を受けることが必要である、と思わせたいのです。

3.アクティビティ

「X人の顧客が使用中」というスタイルのソーシャルプルーフを用いるランディングページは多くあり、それらが効果をもたらすことは十分に考えられます。しかし、改善の余地があることも事実です。人々がどのようにその商品やサービスを使用しているか、ということを併記するのです。

「X人の顧客が使用しているだけでなく、こちらの5人の顧客はその商品やサービスを●●するために使用しています」、であったり、「X人の顧客がその商品やサービスを今まさに使用しています」といった具合です。タイムリー性がソーシャルプルーフに追加され、より説得力と信頼性が増します。例えば、AngelListやBittyBayを見てみてください。

どのように、いつ、あなたのWebサイトにソーシャルプルーフを用いるべきか

ソーシャルプルーフは非常に効果的であり、多くのランディングページにとって重要であることがわかりました。 CopyhackersとAirstoryの共同創始者であるジョアナ・ウィービーによると、本当に問いかけるべきは「どのように、そして、いつソーシャルプルーフを使用するか」であるとのことです。

ジョアナ・ウィービー Copy Hackers & Airstory


「優れたソーシャルプルーフは全てのランディングページで効果的です。なぜなら、人々はマーケター以上に他の人を信じるからです。しかし、もちろんそこには注意点もあります。

全てのランディングページは、見込み客(例:限定した市場セグメントに属する人たち)をあなたの無料サンプルを試したり、製品を買うように説得するための議論や事例です。そのため、推薦文やデータポイントのようなソーシャルプルーフを含む、ランディングページに記載されたコピー文の全ては、その議論をサポートする必要があります。

これは、推薦文には実際の反対意見への対応の必要があるということです。単純な商品の称賛や、存在しない反対意見への対応などではないのです。

推薦文は議論内の適切な位置で表示される必要があります。デザイナーが吹き出しを追加したい箇所でポップアップ表示するものではないのです。また、フルネーム、職業、そして、引用マークでくくられた単なるマーケティングコピーではない、あなたが彼らのためにしてきたことの例などを併記すべきです。

将来の青写真を強化する強力な推薦文は、コール・トゥ・アクションの近くに設置することが最善です。見込み客が、その商品を買えば人生や生活を改善できる、ということを視覚化する手助けとなるのです。また、グループ化した推薦文は、長文形式のセールスページでとても効果的となるでしょう。

驚くべきことに、我々はヘッドラインに記載された通常のコピー文以上の効果を推薦文がもたらす例を見たことはありません。そのため、重要なコピー文をソーシャルプルーフに置き換えることはしないのです。その代り、ソーシャルプルーフをサポート目的の文章として使用することを試すべきだと考えています。

全てのソーシャルプルーフが同じように作られているわけではありません。ランディングページをソーシャルプルーフ有りと無しでテストするだけでは不十分です。写真とTwitterのユーザー名が記載されているManpacksの過去のランディングページ(下記画像右側)は、名前(と顔)がないGolden Sands Experience の過去のランディングページよりも、良いパフォーマンスが得られそうです。

こららのランディングページのスクリーンショットを提供してくれたUnbounceに感謝します。

ソーシャルプルーフを含めるか含めないかではなく、ソーシャルプルーフをどのように、そしていつ使うか、というテストのほうが効果的です。下記に、ソーシャルプルーフにおける、常に改善を検討すべき項目を挙げます。

1. ソーシャルプルーフの種類:6つの標準的な種類と、3つの新しい種類、また、採用可能なあらゆる種類を試しましょう。ソーシャルプルーフは効果的ですが、その表示方法を最適化することで、さらなる効果が見込めます。

2. ソーシャルプルーフのコンテンツ:ランディングページの3つの枠に記載する推薦文が埋まったとしても、ソーシャルプルーフを探すことはやめないでください。常に調査を行うことで、ソーシャルプルーフの表示のローテーションが可能となり、最善の結果を見極めるテストをすることができるのです。反対意見に言及した推薦文、利益に言及した推薦文、核となるキーワードに言及した推薦文。試すべきコンテンツは複数あります。

3. ソーシャルプルーフの設置場所:ランディングページの下部に3つの推薦文を表記するパターンをよく目にします。デザイナーがソーシャルプルーフをページ下部に隠すことを提案してきた場合、その意見には反対しましょう。あなたがデザインすべきは、コンバージョンなのです。

グロースマーケティングのエキスパートとして有名なアンジー・スコットミュラーは、C-R-A-V-E-N-Sとして知られている、ソーシャルプルーフの説得の品質を評価するモデルを共有しています。そのソーシャルプルーフの信頼性、関連性、魅力(感情的に)、ビジュアル、列挙、親近感、そして、具体性を評価しています。

アンジー・スコットミュラー Growth Marketing Expert

「ソーシャルプルーフの心理学的な原則では、人々は不確かなとき、行動規範として他者を参考にする傾向がある、とされています。このコンセプトを説得に用いるために、まずは顧客が不確かと感じているものを特定し、適切なソーシャルプルーフによってそれを和らげることが必要です。

顧客が用いる言葉、数、ビジュアルは、信頼性を強化し、関連性を生み、質問に答え、反対意見を無くします。自信を与えることによるコンバージョンへの影響は、ソーシャルプルーフの品質、また、CTAの完了を妨げる「不確かさ」に対する解消の提示と比例します。

言い換えれば、わずかでも不確かなものがある場合、ソーシャルプルーフの効果は弱まります。不確かさが大きく、ソーシャルプルーフが弱ければ、コンバージョンへの悪影響は起こりえるのです。高品質なソーシャルプルーフが、強い不確かさを和らげるのであれば、コンバージョンへの大きな影響を確認できます。とあるケースでは400%の改善が見られました。」

CTAやPOSの付近にポップアップの形式でソーシャルプルーフを提示してみてください。また、ファネル内のあらゆる段階でソーシャルプルーフがテストできます。

まとめると、あなたがすべきことは下記となります。

• コール・トゥ・アクションや摩擦が発生する付近で、サポート目的としてソーシャルプルーフを使用する
• 反対意見への対応としてソーシャルプルーフを使用する。顧客がコンバージョンしなかった理由はなんだったでしょうか?
• ソーシャルプルーフを戦略的に使用する。製品やサービスに対する一般的な称賛は、ターゲットメッセージほど、コンバージョンへの効果はありません。あなたが作成した議論とその後のランディングページで展開されるストーリーをサポートする形でソーシャルプルーフを使用します。
• あなたのマーケティングに人間味を持たせるためにソーシャルプルーフを使用します。名無しの権兵衛からの推薦文はほぼ意味がありません。顔写真付きの名前、会社名、Twitterページへのリンク、などを添えましょう。ソーシャルを省いてはいけません。

Conversion Sciencesのブライアン・マッセーは、かつて行ったランディングページと商品ページのテストをベースとした、さらなるインサイトを共有してくれています。

ブライアン・マッセー Conversion Sciences

「Facebookのいいね数や、誰がいいねしてくれたかなど、人々はあまり気にしないようです。あなたのページがソーシャルであるとわかれば、去ってしまうかもしれません。ランディングページには、ソーシャルネットワークのバッジを記載せず、サンキューページのためにとっておきましょう。

ECサイトの場合、商品ページとカタログページがランディングページになることもあります。評価やレビューは頻繁にはテストされません。実装されているか、されていないかのどちらかでしょう。可能であれば、購入する意欲を強化させるため、商品の近くに星型のレビューカウントを表示してください。

ポジティブな表現であなたの製品に関する数字を表示します。「3,413人が使用中」といった具合です。 また、ソーシャルプルーフの設置場所もテストすべきです。あらゆるオーディエンスにとって異なるものですから。

結局、どのタイプのソーシャルプルーフが一番効果的?

ジョエルが言う通り、CROに絶対はありません。世界中のエキスパートの誰もが、完全な自信を持って、特定のタイプのソーシャルプルーフが最適であると言い切ることはできません。

WiderFunnelのクリス・ゴワードは、自身のランディングページのオーディエンスや目標にとっての最適解を見つけるため、複数のタイプのソーシャルプルーフをテストすべきという考えに賛同しています。

クリス・ゴワード WiderFunnel

「WiderFunnelはランディングページのソーシャルプルーフについて、多くのABテストを行ってきました。我々のテストでは、多くの消費者向けのランディングページで、ソーシャルプルーフがコンバージョン率を上昇させています(もちろん、下げてしまう場合もありますが)。

ソーシャルプルーフを提示する方法は複数あり、その全てが効果的というわけではありません。推薦文の効果には誇張があり、ソーシャルメディア関連のデータは信頼性を増すこともありますが、フォロワー数が一定の上限を超えた場合に限ります。

また、数字自体が役割を果たすこともあります。フォロワーと顧客の数の桁の順番は、意外なほど影響力があります。

最も重要なことは、ソーシャルプルーフへの返答率は、ターゲットオーディエンスと説得力のある引き金についての情報を伝えるということです。「ソーシャルインクルージョン」のトリガーに動機づけられるターゲットオーディエンスは、良い反応を示すことがあります。我々は、他のマーケティング活動へ影響をあたえるこうしたインサイトを構築する方法をクライアントに伝えるのです。

しかしながら、テストのネタを探していたり、テスト自体が不可能である場合を考え、ソーシャルプルーフを効果的にする要素の特定を試みるテストを、我々が独自に行なってみました。

この調査では、下記の知見が得られています。

• ソーシャルプルーフのタイプの違いが、ユーザーの興味を引きつけるまでにかかる時間の大きな差異を生むわけではない(最初の注視点までは平均で8.3秒)
• 知名度の低いプロフィールのロゴよりも、知名度の高いプロフィールのロゴのほうが思い出しやすい
• 写真付きの推薦文は、リコールの発生において、写真がない推薦文よりも、大幅に効果的である
• 写真は記憶に残りやすいが、ロゴと数字はそうではない

全てをまとめると、下記となります。

• 業界の権威からの推薦文が得られたら、それを使用する。非常に強力な営業ツールとなる
• いずれにせよ、推薦文は注意を引きつける。そのため、推薦文の効果が見られないのであれば、その原因を考える
• 知名度の高いプロフィールのクライアントのロゴ、写真付きのお薦め文、プレスへの言及は最も記憶に残る
• 推薦文には常に写真をつける
• 知名度の高いプロフィールのクライアントのロゴは、思い出しやすさと認知不可の低さのバランスという観点から、最適なソーシャルプルーフと言える

ソーシャルプルーフを得る方法は?

ビジネスを開始した直後で、まだソーシャルプルーフは得られていない場合はどうすべきでしょうか?これは、「鶏が先か、卵が先か」という話です。Unbounceの共同創始者であるオリ・ガードナーは、よくこの質問をされるようです。それに対しての彼の返答は下記となります。

オリ・ガードナー Unbounce

「私が受ける中で最も多い質問の1つは、推薦文が1つもない場合、何をすべきか、というものです。例えば、ローンチした直後のため、まだ誰も使用していない製品、誰も読んでいない電子書籍、誰も利用していないサービスなど、ランディングページにソーシャルプルーフを追加するために、何をすればいいでしょうか?

私が提案する方法は4つあります。

1.まず、ソーシャルプルーフを何も記載しない、というのもOKです。それは、世界の終わりを意味するものではありません。もちろん、推薦文を記載したほうがコンバージョン率は上がるでしょう。しかし、偽の情報を記載するのはやめてください。人々は、そうした匂いに敏感です。そのため、まずはその状態で耐えるか、他の3つの施策を試してみましょう。

2.製品やサービスを無料で提供してみましょう。そのコミュニティや業界のインフルエンサーである場合が理想です。そして、フィードバックをもらうよう、依頼してください。

3.誰かにあなたの製品やサービスについて話してもらうのではなく、より大きなコンセプトについて言及しているインフルエンサーの言葉を引用してください。 例えば、International CRO Dayのランディングページには、推薦文がありません。そのため、コンバージョン率の最適化は非常に重要である、というランド・フィッシュキンの言葉を引用しました。彼は、このイベントについて言及しているわけではありません。しかし、このイベントが重視する対象を重要だと述べています。それにより、間接的にこのイベントの重要性を増すこととなりました。

4.ブロガーやレポーターに、自分の商品やサービスを使用してくれるよう、依頼しましょう。

結論

オンライン広告やブランド化したWebサイトへの信用は、実際に増えています。ニールセンによれば、口コミによる推薦は84%と、最も信頼性があります。ブランドサイトの広告への信頼が69%、オンラインで投稿された消費者の意見への信頼は68%です。

あなたのコピー文は、かつての統計データが示すほど、信頼性に欠けるものではないということは良いニュースでしょう。しかし、古き良き口コミの効果を打ち負かすことはできないのです。

ソーシャルプルーフによるマーケティングパワーをパッケージする新しい方法を見つけ、それを自身のランディングページに正しく使用することは、投資する価値があります。

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